給水工事申請図とCAD

工事申請を行う際に、作成しなければならない平面図や立面図ですが、このコラムをご覧の皆様はどのように対応していますか。

今回は図面作成作業についての当事務所なりの考え方をお示ししますので、参考にしていただければと思います。

どうやって作図する?

まずは図面の作成方法です。

手書き、汎用CADソフト、水道専用CADソフト、CAD以外のペイントソフトなどの利用があります。

エクセルに画像として平面図を貼り付け、オートシェイプで線を引くといった方法で作図しているツワモノもいました。(縮尺も微妙ですし、おすすめしません)

多くの場合は、ほかの工事でも使用している汎用のCADソフトを使用し、PCはちょと苦手といった方の中に、一部手書きの方がいらっしゃるといった印象です。

そして、水道に特化した専用CADについては給水工事をメイン業務とし、一定以上の件数を手掛けている方に利用者が多いようです。

ちなみに私は汎用のCADソフト(Jw-cad)を使用しています。

Jw-cadといえば無料のCADソフトとして有名ですが、公共工事の発注における図面もこのソフトで作図していましたし、図面の種類にもよりますが十分に実用に足るものと思います。

手書きじゃダメなのか?

手書きに慣れている方の場合は、不慣れなCADを使うより早く仕上がるでしょうし、きれいに作図された図面なら全く問題ないです。
(ごちゃごちゃしいて文字も乱雑でいかにも手書きといったものは、受け手に悪い印象を与えてしまうかもしれませんが・・・・)

ただ、出来ればCAD等のデジタルによる手法に切り替えていくことをオススメします。

その理由としては次のとおりです。

  • 修正の容易さ
    途中で修正が生じても、CADであれば簡単に書き直しができます。
  • 縮尺変更が自由
    CADの場合、作図した後でも縮尺を自由に変更できます。
  • データ管理として
    紙媒体での図面は、量が増えてくると保管場所の確保も大変だと思います。
    データとして管理することで保管場所の問題は減少します。
    (保管に関しては手書きの図面でもPDF等のデジタルデータに変換して対応することは可能です)
  • 提供を求められた際の対応
    工事によって、発注者や関連業者が図面データの提供(共有)を希望するケースがあります。
    国発注の工事における電子納品ではSXF形式での提出が必要です。
    これは手書きでは対応できませんね。
  • 変更・精算図等の作成時における手間の軽減
    工事において発注者や元請業者から図面のCADデータを提供してもらい、その図面に変更をかけていき協議資料としたり、最終的には精算図面を作成するといったことも容易に可能となります。

これまでCAD操作の経験がない方にとっては、なかなか難しい部分もあるかもしれませんが、作図時間に余裕があるときはCADに挑戦してみて、時間がない場合は手書きでといった具合に使い分けながら取り入れていってみてはいかがでしょうか。

汎用CADソフトの利用

土木、建築現場でよく使用されているものとしては、AutoCad、Jw-cadといったものががあります。

Jw-cadに至っては無料ソフトですが、私自身使用していてそれほど不便を感じたことはありません。

うまく利用することで汎用CADソフトでも水道工事にかかる図面作成で困ることはそれほどないと思われます。

汎用CADソフトを利用するために必要なことは、使用する「給水記号等の図形データをそろえる」ということです。

本管の管割図にしても給水図面にしても、図形データが揃っていれば作図は容易になります。

細かいテクニックは別として、給水工事図面の場合は基本的に給水記号を配置して、線でつなげていくといった作業です。

給水記号のデータを持っていない場合は、面倒になって「手書きのほうがいいや」と思ってしまうかもしれませんね。

私は、ほどんどの記号を自分で作成しましたが(この理由はいつか記事にしたいと思います)インターネットで検索するとダウンロード出来るサイトがありますので、まずはそういったところで揃えてみて、不足するものは自分で作って登録しておけばよいと思います。

水道工事専用CADソフトの利用

水道専用のCADソフトといったものもあり、その種類も給水工事申請に特化したソフトもあれば、本管工事まで対応できるソフトもあるといった感じです。

私は使用していませんが、これまでに複数のソフトのデモを体験させていただいたり、専用ソフトで作成した給水図面を受け取ったりしてきました。

以下に私が感じたことを記載しますが、あくまでもデモ等で見たり聞いたりした印象ですので、実際に使用している方とは意見が異なるかもしれません。

ご理解のうえ、意見の一つとして読んでいただくようお願いいたします。

良いと思ったところ

まずは、私が見てきたいくつかのソフトで感じた良い点を挙げてみます。

  • 早い
    確かに作図時間が大幅に短縮される印象です。
    水栓の位置を指定したら、自動作図で平面もアイソメも出来上がり。
  • 材料の集計も
    作図と同時に材料も集計されます。
  • 本管図面や土工も
    私が体験したソフトでは本管図面も対応していました。
    配管の自動作図だけではなく埋戻断面や土量計算まで作成されるといった至れり尽くせりな感じです。

気になるところ

次にこの部分はちょっと・・・と感じた点を挙げてみます。

  • 導入費用とランニングコスト
    やはりこれが一番ですね。
    どのソフトもある程度の金額が必要です。
    また、名目は保守料、ライセンス料、会費と様々ですが、導入後も費用が必要なケースも多いようです。
  • 自治体ごとのルールの違い
    これはソフトによって対応しているものもあるかもしれませんが、使用する給水記号、アイソメ図の角度などが決められている自治体もあります。
    これらに対応できていない場合は、せっかくの自動作図もそのまま使えないですね。
  • 文字の重なり
    これは給水工事の図面を受け取った時によくありました。
    込み入った配管等の場合で、複数の線と文字が重なりあって非常に見にくい状態になっているといったものです。
    あまりひどい場合は、書き直しを求められる場合もあるかもしれません。

私がデモ等で動作確認したのは、数年前の話なので現在のものは更に改良されているかもしれません。

金額面以外の部分は、一度ソフトで作図して文字の重なり等の細かい部分を手直しするという方法で対応できますし、それでも十分に作業時間短縮につながります。

汎用CADより操作を覚えるのは簡単だと思えましたので、予算的に問題ないと判断されるようなら導入の方向で検討してみてもよいと思います。

ただし、導入を検討される場合は、ほとんどのソフトで無料体験版等が準備されていますし、メーカーによってはデモンストレーションを行いながらの説明といった対応を行っていますので、それらを利用して実際の使用状況を十分に確認したうえで決定することをオススメします。

結論としては・・・

現在手書きの方はCADによる作図を覚えた方がよいと思います。

操作を覚えるまでは苦労するかもしれませんが、結果的には楽に作図できるようになるからです。

CADの種類については皆さんの業務実態によって判断が分かれます。

給水工事メインで常に一定数の現場を確保できているという状況でしたら、水道専用CADを使用するメリットは大きいと思います。

逆に、水道以外の土木工事等も行っていて、給水工事の件数もそれほど多くないといった場合は、土木工事等で使用しているCADをそのまま使って給水工事図面も作成した方がよいかもしれません。

新しくCADを導入する場合は、当然ながら新たな費用が発生しますので、その費用に見合った効果が期待できるのかどうかで判断する必要があります。

当事務所では汎用CADにより給水工事の図面作成を行っているのですが、作図手順を確立できたので短時間で作図可能になったことと、給水工事だけでなくいろいろな業務でCADを使用していることもあり、水道専用CADを導入するということは現時点では考えていません。

今後のコラムでCADによる給水工事図面等の作成方法についても、解説していければと考えています。

外注するのも方法の一つです

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