【浄化槽】一般住宅では130平方メートル超えても5人槽が認められる場合があります

浄化槽を設置する際、何人槽とするかの算定を行わなければなりません。

算定方法は浄化槽を設置する施設用途によって、それぞれ計算式が定められています。

一般住宅の場合、基本的には延べ面積130平方メートルまでが5人槽ですが、この面積を超えた場合でも7人槽ではなく5人槽とすることができるケースがあることをご存じでしょうか。

浄化槽工事を請負う機会がたまにしかないという業者様の中には、周知が十分されてなく「知らなかった」という声を聞くことがあったため、今回のコラムを作成しました。

浄化槽工事の人槽算定

浄化槽の大きさ(何人槽にしなければならないか)は、建築物の用途や延べ床面積等を基に、日本工業規格「建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準」(JIS A  3302 2000)で定められた算定基準により決定されています。(地域によっては独自基準が加えられている場合有り)

たとえば住宅の場合でみると、延べ面積130平方メートル以下が5人槽、130平方メートルを超えた場合は7人槽とされています。

このほか集会所、医療関係施設、店舗といった用途によりそれぞれ算定方法が定められており、これに基づき浄化槽の大きさを決定します。

つまり浄化槽を設置する場合は、単に造成、増改築の予定があるというだけではなく、その用途や面積等が定まらないと浄化槽の大きさを決定することができないということです。

設置事業者の皆さんは、見積もり等の際に十分な確認を行い、後になって浄化槽の大きさを変えなければいけなくなるといったことが無いよう、注意しなければいけません。

一戸建て住宅に設置する浄化槽の処理対象人員算定基準におけるただし書き

上記に記載したとおり、浄化槽の大きさは用途によって細かく算定基準が定められているのですが、今回のコラムでは住宅に絞ってお話を進めさせていただきます。

住宅における基準として記載されているのは、単に130平方メートルを超えるか否かで5人槽と7人槽を判断するものとなっています。

ただし、これに注釈がついています。

そこには130平方メートルという数字に対して次のように書かれています。

注(2)この値は、当該地域における住宅の一戸当たりの平均的な延べ面積に応じて、増減できるものとする。

建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準(JIS A 3302-2000)

都道府県や市区町村のホームページ等で浄化槽について調べていると「ただし書きの運用について」といった一文を目にすることがあると思いますが、この「ただし書き」というのが上記のものです。(以下「ただし書き」とする)

内容を見ると、具体的な表現ではないためこの1文だけでは判断できません。

では実際の実務の中でどういった取り扱いとなっているのでしょうか。

皆さんの地域では?地域によって取り扱いが異なります!

上記の「ただし書き」ですが、運用は各地域独自のものとなっていて、運用方法を定めた時期や、その内容に違いがあります。

延べ面積130平方メートルをこえる一般住宅の浄化槽工事を予定されている皆さんは、まず施工地域の人数算定基準を確認することから始めなければいけません。

地域によって5人槽が認められたり、認められなかったりということが生じてくるためです。

どういった取り扱いがされている?

それぞれの地域で取り扱いが定められている「ただし書き」について、5人槽が認められる建築物の要件としての事例を紹介します。

長崎県(保健所管轄)、長崎市、佐世保市

令和2年4月1日(長崎県、佐世保市)令和2年4月21日(長崎市)より下記の要件(抜粋)を適用。

  1. 住宅専用部分の延べ床面積(増築又は改築を行う場合は、当該工事後の延べ面積)が200平方メートル以内であること。
  2. 実居住人員及び将来の居住人員見込みが5人以下であること。
  3. 水道及び井戸水の合計使用水量(浄化槽で処理する水量に限る)の見込みが1日あたり平均1,000リットル以下であること。
  4. 一つの敷地に「母屋」と「離れ」がある場合は、「離れ」は、風呂、台所、便所のうちいずれか一つ以上を母屋と共有すること(「離れ」は、一つ以上の機能を欠くこと)。

佐賀県

平成26年4月1日(佐賀市)平成26年7月1日(佐賀県)より下記の要件(抜粋)を適用。

  1. 既存の住宅又は延べ床面積の増加が10平方メートル未満の増築であること。
  2. 台所及び浴室がそれぞれ1箇所以内であること。
  3. 実居住人員及び将来の居住人員見込みが5人以下であること。
  4. 3 において 4 人又は 5 人である場合、予定使用水量(次のいづれかの方法により算定した値)が 1 日あたり 1,000 リットル以下であること。(以下省略)
  5. 設置者の責任において浄化槽の法定検査、保守点検及び清掃が適正に実施されること。

長崎県とお隣の佐賀県での取り扱い事例を取り上げてみました。

この事例を比べても、適用された時期、内容に違いがあるのがわかると思います。

このコラムをご覧になっている皆様の地域についても一度ご確認ください。

まとめ

今回は一般住宅における、人槽算定について説明させていただきました。

各地域で人槽の緩和条件が異なるということを念頭に、十分な確認を行うよう心掛けてください。

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